バークレー テクノロジーとストリートの狭間で
2018 September / U.S.A. / BERKELEY
サンフランシスコの金融街の中心に位置する「モントゴメリー駅」。その駅から、BARTと呼ばれる高速鉄道で電車に揺られること10分。そこに、かつて名NFL選手ジェリー・ライスが所属していた「オークランド・レイダース」の本拠地、オークランドはある。
都会的な雰囲気を持ちながら、レッドウッド州立公園など豊かな自然も抱える、人口約40万人の中規模都市。近年は家賃高騰が全米1位とされるサンフランシスコからの、“エスケープエリア”として住民が流れているとも噂されている。
そのオークランドから「telegraph avenue」を北に、途中「Shattuck Avenue」に入り、歩くこと1.5時間(本当によく歩いた)で、今回の目的地バークレーにたどり着く。
カルフォニア大学のバークレー校や、“Farm to table”を掲げる「シェパニーズ」があり、「Blue Bottle Coffee」の1号店がある。
サンフランシスコがイノベーションとテクノロジーの街とするなら、バークレーは食の文化を変えた、未来のカルチャーを提示する街の一つと言えるかもしれない。
さて、多分に洩れず「Blue Bottle Coffee」の1号店に行くわけだが、その佇まいは日本でよく見られる、スキーマ建築計画が手がけたミニマルな空間というよりは、無駄がないというか、リーンな印象を受ける。
ファーストストアということで、少し狭めの店内には多くの客で賑わっていたが、外に目をやると、人通りがまばらで閑散としている。日が落ちかけていることもあってか、「未来のカルチャーを提示する」と前述した割には、寂寥感を漂わせる。
その一角では、スケーターが数人でスケートビデオを撮影していた。工場(?)の段差を利用して、時折トリックを決めてはハイタッチを交わす。失敗すれば、乾いたボードの音が鳴り響く。そして時間が経てば、地面に座りながら他愛もない話をしている(ような雰囲気だ)。
彼らは、ストリート的なクールさを持ちながら、どこか肩の力が抜けたような“余白”を感じさせていた。「無理はしない」「ほどほどに楽しむ」というのが、彼らのスタイルなのだろうか。
少し離れたサンフランシスコでは、メガスタートアップがイノベーションによる非連続的成長という“錦の御旗”を掲げ、猛スピードで世界を変えている。
しかし、バークレーのスケートボーイはそんなことは我関せずな雰囲気で、明日もボードを滑らせる。彼らは本当の自由を楽しんでいるのだ。きっと、バークレーという街がそうさせている。
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